
板神輿の上で戦う2人の武将
旧暦6月、八重山諸島各地で行われる豊年祭。今年の豊作を祝い、そして来年の豊作を祈る。縁あってこの日、石垣島にある集落のムラプール(豊年祭2日目に集落の中で行われる祭り)を、地元の人たちに交じって観覧させてもらった。
到着した午後7時にはすでに壮麗な旗頭がずらりと並び、地元の団体による奉納芸能が続いていた。手踊りの隊列を熱心に見つめていた幼い子どもが、身振り手振りを真似て踊り出す。板神輿に乗った武将同士の戦いを見守る小学生たちから歓声が上げる。こうして、大切な地域の祭が子どもたちにつながっていくのだ。
「ガーリー」と呼ばれる儀式では、会場全体に響く「サーサー!サーサー!」の掛け声のなか、重さ40㎏の旗頭が次々と担ぎ手から担ぎ手へ手渡されていく。クライマックスは、幻想的なかがり火の中で行われる住民総出の大綱引き。今年の綱引きでは、西側が勝利をおさめ、「西の勝利により、来年の豊作が約束された」というアナウンスが流れた。
真新しい稲わらで組まれた綱引き綱は役目を終えて路肩に寄せられていた。大切な祭りを共有させてもらったことに感謝しながら、興奮冷めやらぬこの場を後にした。 (村)

かがり火に照らされた旗頭

御嶽の前に並んだ旗頭

御嶽前で芸能が披露される

綱引き綱に座り、熱心に見守る子どもたち

役目を終えた綱引き綱