仲間と向き合った日

 

 

 

 

 

事務所の考えで「相手のことを知らないと設計できない」ということで、障がい者施設研修に行ってきました。重度の知的障害を持つ人たちが平日朝から夕方まで活動をする生活実習所というところです。

今まで身近に知的障がいを持つ人がいなかったので、一緒に過ごすのは初めての経験でした。会話ができない仲間(共同作業所の言葉で「仲間」というらしい)とどのように意思疎通するのか、言葉でしか正確には伝わらないのではないかと思っていたのですが、言葉ではなく表情や行動で示すことを仲間は教えてくれました。

私と初めて対面した時の緊張した表情、ちらちらと私を見る視線からは私が気になるのかなと感じ、反応を一つひとつ読み取っていくと意外と素直なのかもしれないと思いました。

仲間が生き生きと過ごしている姿がとても印象的でした。活動が始まる前の自由時間、廊下にあるベッドでくつろいでいる人、椅子に座って机の上でカラフルなチェーンを回している人、部屋の隅で「ラジオ」と言ってラジオを聴いている人、そのラジオのアンテナを伸ばしに来る人、私に何度も手を振ってくれる人、机の前につい立を置いて気持ちを落ち着かせている人など、一人ひとりに合った多様な居場所があり、一人ひとりが尊重されている空間は私まで居心地よく、全員過ごし方が違うけれど共存しているところが面白かったです。

職員さんとお話をした時に、「会話ができなくても感じ取れる。どれくらい理解をしているかお互いが理解しあって、この人に会えば言いたいことわかってくれるのだと気づいてくれて、信頼関係を築くことができる」と、一人ひとりと丁寧に向き合っている職員さんの思いやりも感じました。日中の活動が終わり帰りの時間が近づいてきた頃、一人が私の方に椅子を寄せてくれました。すごく小さな反応だけど、少し心を開いてくれたのかなと思い嬉しかったです。

障がいがある仲間も私も一人の人であって、皆自分に合った場所にいるのだと思います。仲間が安心して過ごせる場所を作ってみたいです。  (北)

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地震のすさまじさを体感ー野島断層保存館

淡路島の北西部に、兵庫県南部地震で現れた野島断層を保存する野島断層保存館がある。
入口を入ったとたんに震災時の倒れた高速道路が実物大で現われる。
大きく動いた断層とともに大迫力だ。

震源に一番近い野島断層。
左右、上下に大きくズレて家屋や道路に大きな被害を出した。
この時の上下は何十センチ単位とのことだが、能登半島地震の隆起は約4m。
想像を超える。
しかも日本のいたるところに断層は無数にある。
活断層のすさまじさと地震の恐ろしさを感じた保存館だった。 (高)

震災時の高速道路を実物大で再現

断層が動き大きくズレた道路

ズレた生垣

壊れた塀

バーチャルで地震体験

断層の断面。右側の地層は数万年前からズリ上がりを繰り返している

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めまぐるしい4月

満開でのさくらまつり(撮影は3月末)

事務所近所のツツジ

 

 

 

 

 

 

3月下旬から4月にかけて寒暖が激しく繰り返す日々が続きました。

3月末から「桜が咲き始め」、4月初旬には事務所近くの桜もようやく「満開を迎え」春になったことを実感しましたが、直後、「雪がちらつく」日があり冬に逆戻りを感じた次の日には「夏日」になり何日も夏を観測しました。満開の桜もいつの間にかに散ってしまい、「散りゆく桜」を見ていないように思います。美しく感じるのは日本人だけらしい。そして、色とりどりの「サツキが咲き」始めた1ヵ月でした。日本語の季節の描写がうつくしいと感じました。

しかし、寒暖の激しさは地球温暖化の一言で片づかない緊急な課題です。

また、何かと世間の風当たりが強く、直近の報道でも課題は多いと聞く大阪・関西万博が開幕しました。色々と考え方はあると思いますが、未来を拓く先進的な建築によるパビリオンを見た子どもたちが、これをきっかけに建築に興味をもち、将来、建築関連に進みたいという子どもたちがいたらいいなあと思いました。 (古)

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網代温泉の道祖神

温泉櫓の前の道祖神

石鳥居のある道祖神

赤い鳥居のある道祖神

赤い帽子をかぶった道祖神

登録有形文化財「平井家住宅」

道祖神の後ろに見える網代の海

網代漁港

2月下旬、サークルの合宿で熱海市の南端に位置する網代温泉(あじろおんせん)へ。
せっかくの機会なので、合宿のメンバーと一緒に、網代のまちを歩きました。

網代は、熱海温泉の南端に位置する、海沿いの静かな町。
まずは、旧網代小学校にオープンした、街の交流拠点「AJIRO MUSUBI(網代むすび)」に集合。カフェやコワーキングスペースなどがあり、地元の人や観光客で賑わっていました。

カフェのスタッフに、「道祖神や古民家を見に行く」と話すと、「道祖神に鳥居があるのが、ここの道祖神の特徴」と教えてくれました。
私の知っている道祖神は道端にちょこんと置かれた可愛らしい石像です。こじんまりした鳥居を想像したのですが、この日出会った道祖神は、神社と見間違えるような立派な鳥居や立派な石段の上にまつられていました。

その昔、江戸への海路の要衝として諸国の廻船でにぎわったという網代のまち。人びとは道祖神にどんな願いを託してきたのでしょうか。
寒い季節でしたが、天気に恵まれ、楽しいまち歩きになりました。 (村)

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内覧会ーあきしま相互病院増築棟

2025年1月18・19日に東京都昭島市に建設していた「あきしま相互病院増築棟」の内覧会があり、地域の医療・介護関係者、友の会の人たちが大勢見学にいらっしゃいました。天気も良く、最上階の職員フロアからは富士山がきれいに見えました。

「あきしま相互病院増築棟」は地域包括ケア病棟44床、回復期リハビリテーション病棟45床で構成されています。リハビリテーション室も充実。これから在宅関係事業所も入り、病院全体で地域の高齢者を支えようとされています。 (高)

むさしの公園からの外観

むさしの公園からの外観

病棟デイルーム

職員フロアからの富士山

1階・リハビリテーション室。模擬和室・浴室・キッチンがあり在宅に備える

■設計コンセプト

設計コンセプト1P

設計コンセプト2P

 

 

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阪神淡路大震災から30年

阪神淡路大震災から30年が経ちました。

兵庫県西宮市で暮らし始めて7年目でした。
就寝中、かすかに地響きを感じ、トラックが通ったかと思っていたのですが、だんだん大きく強くなり、ドーンときました。関西に来て初めての地震でした。
30年経った今でも、私の体験した地震のなかで最大のものです。
当時、古い木造2階建てアパートに住んでいましたが、建物が頑丈だったのか、建っている方向が良かったのか、全く問題ありませんでした。

かなり被害は出ているだろうと思っていました。しかし状況は全くわかりません。
ただヘリコプターの音と振動だけが、異常に響いていたことを覚えています。
不安がどんどん大きくなり、なぜかわかりませんが、京都に逃げようと車を走らせていました。かなり時間がかかったことは記憶にあるのですが、道中の様子は全く覚えていません。
宿泊したビジネスホテルのテレビで被害状況を見て愕然としました。当事者がなにもわからないのです。後日、阪神高速の太い柱が倒れて鉄筋がむき出し状態を見て、よくアパートが倒れなかったなと思いました。

ちょうどその頃、共同住宅の確認申請を提出していましたが、歩きで所轄の建築審査課に通ってました。窓口はいつでも長蛇の列で、担当の方は相当大変だったと思います。
いまどうしているか、また会って当時の話をしてみたいなと思います。思い出したくないと言われるかもしれませんが。

振り返ると、自分の置かれている状況がわからなくなると不安が広がります。
当時、音と振動を撒き散らかしていたヘリコクターから当事者に向けての情報を発信できる方法があればよかったのではないかと思います。いまでは別の方法もあるでしょう。
ただペリコプターの音を聞くと、いまでも当時のことを思い出します。

あれから30年。
これから30年は積み重ねられないだろうと思うとちょっと複雑な気持ちです。 (熊)

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初めて関わった医療施設に感動

先日、完成したあきしま相互病院の増築棟を見学してきました。
私が携われた期間は半年でしたが、建物が完成するまでの過程を見られたのは入社してから初めての経験で、当たり前かもしれませんが図面と同じものを実物で見られたことに感動しました。

設計期間で一番印象に残っているのは今年5月から月一回で開催されたアメニティ委員会です。

病院で勤務する看護師・栄養士・理学療法士など15名が集まり病棟の内装を決めていくのですが、患者さんが使用する病室や廊下、トイレなどの内装を決める際に職員の皆さんが常に患者さんの視点で意見を述べていたのが印象に残っています。
患者さんがトイレを使用するときのシミュレーションを実際のトイレで行い、手すりや呼出ボタンなどの位置を議論したり、患者さんが認識しやすいピクトサインを決めたり、患者さんを日頃近くで見ている職員の方々の意見を聞くと、私も病院の日常生活をイメージでき大変勉強になりました。

完成した病棟を歩いていると「あ、あの時決めた壁紙だ」と、職員の方々がこだわって決めていた内装材が目に入り、委員会での話し合いを思い出しました。職員の方々にとっても愛着が湧くデザインになることを願っています。  (北)

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近隣を歩いて

医療施設の計画が進んでいます。11月末に建て主さんたちと計画地周辺のお宅へ計画の説明に伺いました。

昔は2階建ての住宅が建ち並んでいたと思われる駅前地域は、新しいマンションが敷地一杯に建っています。

そのなかでUR賃貸住宅団地の敷地に入るとほっとしました。1977年に作られた団地は50年近く経ちますが、まだまだ現役。棟の間隔も十分にあり、隣接して公園もあります。敷地の樹木は大きく育っています。

 

居住者は子育て中のアジア系の人たちや高齢者が目立ちます。新しい医療施設ができたら安心という声が聞かれ、近隣説明の大変さも軽くなりました。  (高)

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サ高住の取り組みが掲載されました

『地域とつながる高齢者・障がい者の住まい』(学芸出版社)が9月に出版されました。阪東美智子さん(国立保健医療科学院)が編著者の一人でまとめられたものです。

『地域につながる高齢者・障がい者の住まい』

10年前に、完成したばかりの「レインボーの家川崎大師町」を阪東さんと一緒に見学したのを機会に、川崎でのサービス付き高齢者向け住宅の取り組みを知っていただけました。地域の人たちに支えられたサ高住は今でも人気が高いと聞いています。

地域とつながる住まいについて、事例から読み解く章と、人と人がつながりを生む地域の実践としてまちづくり、しくみづくりにも触れている書籍です。

日本建築学会高齢者・障がい者等居住小委員会の研究活動で得た成果をまとめられたものだそうで、多くの研究者・実践者が執筆者として参加しているのが魅力です。  (高)

 

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物価がさがらない

暦では秋は深まっています (2024年9月17日、8年ぶりに満月の中秋の名月・インターネットフリー素材から)

2022年ロシアによるウクライナ侵攻を契機に物資不足が起こり、日本では9月に入っても真夏日が続き、線状降水帯がいたるところで発生し被害を及ぼしている。地球規模での激変的な気候変動による農作物や水産物への影響など様々な原因で、私たちは不便な生活を強いられている。

特に食料品が高騰している。スナック菓子の『うまい棒』が2022年以前は1本10円だったが、2022年1月に12円になり今年10月からは3円上がって1本15円になり、当初の1.5倍の価格だ。これは顕著な例だが、様々なモノが同様に高騰している。

そして、この夏、小売店やスーパー等からおコメが消えた。国は政府備蓄米を放出せず「9月には新米が出回るとのことで落ち着いた消費行動をお願いします」と他人事のようなコメントを発表した。日本人の主食がなくなっても落ち着けとはどういうことなのだろうか。

最低賃金50円アップや4万円の定額減税は雀の涙だし、折しも政権与党のトップが変わった(期待は全くしていませんが)・・・国民生活がマシになるよう舵をきってほしい。

私たちの給与を1.5倍にしてほしいとそこまでは言わないが、不安なく健康で文化的な生活が将来に渡って送れるようにしてほしい(今回は少し固めな内容になってしまいました)。  (古)

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